アミアンでの週末の過ごし方

私は、第一次世界大戦の記憶を辿るためにソンム地方を訪れました。週末にアミアンを訪れたのですが、それはとても素敵な旅になりました。
荘厳な大聖堂、ピカルディ美術館、ジュール・ヴェルヌの家など、みどころ満載の都市です。また、「北の小さなベニス」と呼ばれるこの街の運河を散策するのは、本当に楽しいものです。
特にパリやイル・ド・フランス、北部から来られる方には、週末のシティ・トリップに最適な場所です。電車、車ともに、首都から2時間以内で行くことができます。
では、週末にアミアンで何をして過ごすのかと疑問に思うことでしょう。今回は、ピカリディ地方のこの美しい街のおすすめスポットや滞在方法についてご紹介します。
1/ サン・リュー地区の散策

サン・リュー(Saint-Leu)はアミアンの中でも特にお気に入りの場所です。ソンム川のほかに、数多くの運河が交差するこの地区は、中世にまで遡ることができ、カラフルなハーフティンバー様式の建物やレンガ造りの家々が建ち並んでいます。
アニメの震源地はBéluの岸壁で、ソンムのほとりにテラス付きのレストランが並んでいます。アミアンでの食事や飲み会に最適です。
ソンム川に架かるドダン橋( le pont de la Dodane)を渡る際、背を向けているこの像を見てみてください。水に浮かんでいる浮き輪のようなものの上に乗っていて、この地区のシンボルになっています。
ちなみに、この川での行事といえば、学生や命知らずのお祭り好きは、様々な格好に装って躊躇なく川に飛び込むのだとか…。
サン・リューの中の細い通りにもぜひ足を運んでみてくださいね。波止場の喧騒から一転、静寂に包まれています。

2/ アミアンのノートルダム大聖堂

ご存知でしたか?アミアンには、パリのノートルダム大聖堂の2倍の大きさを誇る世界最大のゴシック様式の大聖堂があることを。
ユネスコの世界遺産に登録されているアミアンのノートルダム大聖堂は、建築の傑作といえるでしょう。19世紀にヴィオレ・ル・デュク(Viollet-le-Duc 1814-1879)がパリのものを修復するきっかけとなったのは、その尖塔でした。皆さんもご存知の通り、パリの大聖堂は残念なことに、2019年の火事で焼かれてしまいましたね…。
建物の中に入る前に、正門が上の写真のように3つあります。そこに聖書の物語を伝える彫刻がありますので、ぜひじっくり堪能してください。そして、中に入ると、外から差し込んだ光が中央の身廊部分を照らしているのが印象的でした。
大聖堂の長さは145m、高さは42mです。300段以上の階段を登る勇気のある方は、塔の上に登ってアミアンの街の絶景を楽しんでくださいね。
また、大聖堂の奥にある回廊沿いには、第一次世界大戦で亡くなった兵士たちに捧げられた礼拝堂があります。
機会があれば、クロマ・フェスティバル(Le spectacle Chroma)の時期に合わせて計画してみてはいかがでしょうか。大聖堂のファサードで壮大な音と光のショーが繰り広げられ、一見の価値がありますよ。
3/ ピカルディ美術館

改修のため2年以上閉館されていたピカルディ美術館が、2020年にリニューアルオープンし、現在は美術館を訪れることができます。ナポレオン3世様式のこの素晴らしい歴史的モニュメントは、一新され、かつての栄光を取り戻しています。
展示されている芸術作品の質の高さと、王宮に相応しい部屋の優美さには、一見の価値があります。
ピカルディ美術館は、先史時代から現代までの素晴らしいコレクションを所蔵しています。地下には、古代に特化しており、エジプトのミイラなどがあります。
1階には、彫刻や古典絵画などが展示されており、2階には、19世紀から20世紀にかけてのフランスや海外の芸術家による数多くの絵画が展示されています。
ゆっくりと時間をかけて発見できる、見応え十分なとても美しい美術館です。
4/ ジュール・ヴェルヌの足跡をたどる
有名な作家ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne 1828-1905)は、1871年に妻のオノリーヌと息子のミシェルを連れてアミアンに到着し、人生の大部分を過ごしました。
ナント、パリでの生活を経て、多くの作品をこの地で書き上げました。
『Le Tour du Monde en 80 jours(80日間世界一周)』(1873)
『Michel Strogoff(皇帝の密使ミハイル・ストロゴフ)』(1876)
『Le Rayon vert(緑の光線)』(1882)
1882年から1900年まで彼が暮らした家は、現在は博物館になっており、「塔のある家」という愛称で親しまれているこの家は、本格的な19世紀スタイルの邸宅です。
ジュール・ヴェルヌの家を訪れると、作家の作品の世界に入り込むことができるだけでなく、彼の人生をも垣間見ることができるのも魅力的な体験ですよね。そこに置いてあるモノや資料を見ていると、またこの作家の作品を読みたくなってきます。
彼はアミアンの市議会議員でもあり、街に深く関わっていました。パリの冬のサーカスを模してサーカスを作ったのも彼であり、今日では彼の名前がついています。
ジュール・ヴェルヌは1905年にアミアンで亡くなり、マドレーヌ墓地に埋葬されています。市街地からは少し離れているので、彼のお墓参りをするなら車で行った方がいいですね。
この彫刻はアミアンのアーティスト、アルベール・ローズが制作したもので、作家が自分の壊れた墓石を持ち上げ、空に向かって腕を伸ばしている姿が彫刻で表現されています。ジュール・ヴェルヌの生涯に興味をお持ちの方は、彼の生まれ故郷であるナントを訪れることもお勧めします。
5/ ボートで巡るホルティロナージュ
アミアンのホルティヨナージュは、世界でも類を見ない場所です。ソンム川とアヴル川に挟まれた迷路のような湖と運河の上にある、水面に広がる庭園です。
もともとは、果物や野菜を育てる市場の庭園でしたが、今日では、自然の中で釣りをしたり、リラックスしたりするために街の人々が訪れるプレジャー・ガーデンのようになっています。

ホルティヨナージュを訪れる一番の方法は、電動ボートを借りて、庭園や池を巡る冒険に出ることです。
また、毎年6月から10月にかけて開催されるオート・ド・フランス庭園の国際フェスティバル( festival international des Jardins Hauts de France)に参加するのもお勧めです。ランドスケープ・アーティスト、造形作家、建築家などが、島々に植物を使ったアート作品を制作し、自然と詩的な展示が行われます。
ボートを利用すれば、自分で舵を取り独創的で驚くべき庭園を発見することができますよ。
アミアンのホルティヨナージュの情報は、Somme Tourismeのウェブサイトに掲載されています。訪れる前に確認してみてくださいね。
6/ トゥパスに沿ってソンムを歩く
散歩やサイクリングを楽しみたい方は、サン・リュー地区から東に向かって川沿いにあるトゥパス(曳舟道)をご利用ください。水辺の自然に囲まれた絶景です。
アミアンとの境にある村、カモン(Camon)から船で出発するHortillonnagesフェスティバルの会場まで行くことができます。シティートリップの週末を、自然の中で過ごすことができるのが魅力です。
アミアン滞在情報
●観光案内
この記事に掲載されている情報を確認するには、アミアン観光局のサイトかソンムツーリズムでチェックをしてみてください。
また、事前準備として、私はミシュランのガイド「Picardie Baie de Somme」を使いました。このガイドはアミアンの街とソンム地方について非常に充実しています。
●宿泊場所
私は、アミアンとカモンの境界にあるJardin sur l'eauというとても素敵なゲストハウスに2泊しました。ホルティロナージュやソンムに近い自然の中の楽園のような気分になるところです。
市街地へは、トゥパス(徒歩30分、自転車10分)をご利用いただくこともできますし、敷地内には無料の駐車場があります。
街の中心地での滞在をご希望の場合は、駅の近く、大聖堂から徒歩5分という理想的な場所にあるIbis Style Amiens Centreをお勧めします。
●レストラン
アミアンで外食するなら、サン・リュー地区にあるPlace du DonやQuai Béluがお勧めです。そのエリアにはテラス席には多くのレストランがあり、街の中でも最も活気のある場所です。
Quai Béluでは、ソンム河畔の美味しいレストランQuaiをお勧めします(すぐに満席になってしまうので、予約を忘れずに)。夜にテラスで美味しい食事をするのに最適な場所です。
早くて安いものを食べたいなら、Place du Donの裏にある小さなベトナム料理店Chez Tungがおすすめです。
午後のアイスクリーム休憩には、Sorbet d'Amourに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。アミアンで一番おいしいアイスクリームが食べられますよ。
●交通手段
アミアンは小さな街なので、すべての観光スポットを徒歩や自転車で回ることができます。お車でお越しの方は、Cirque Jules Verneの近くに駐車されることをお勧めします。駐車場は無料ではありませんが、楽々駐車が可能ですし、交通渋滞も避けることができます。
また、Une balade à Amiensは、最近アミアンに住んでいる旅行ブロガーのFrom Yukonさんによる、アミアンについてのとても素晴らしい記事ですので、ぜひ読んでみてください。彼にはたくさんのアドバイスをいただきました。
ソンムに数日滞在するなら、第一次世界大戦の記念碑を巡ることをテーマにするのも良いと思います。この記事では、第一次世界大戦の戦跡に関するあらゆる情報をご紹介しています。
ぜひ、アミアンへの旅行をする際の参考していただければと思います。
校正Erika
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